実家を放置していませんか?空き家放置の危険性と今すぐできる対策とは

不動産の話

実家が空き家のままだけど、どうすればいいかわからない、と感じている方は少なくありません。空き家を長期間放置していると、建物の倒壊・犯罪被害・罰則・税金の増額など、深刻な問題に発展することがあります。実際、全国で空き家の放置が社会問題となっており、法律による厳しい対応も始まっています。
この記事では、空き家に潜む危険性をわかりやすく解説し、今から取れる具体的な対策や判断のポイントをご紹介します。

空き家を放置する人が増えている背景

最近、空き家をそのままにしてしまう人が増えています。特に、地方に実家がある首都圏の50代以上の方にとっては、空き家の問題はとても身近な話です。なぜ、空き家を放置してしまうのでしょうか。その背景には、いくつかの理由があります。

相続した実家をどうすればいいか悩む人が多い

親から実家を相続したけれど、自分はすでに首都圏に生活の拠点があるという人は多いでしょう。「使う予定はないけど、どうしよう。」と悩んでいるうちに、手つかずのまま何年も経ってしまうケースはよくあります。実家には思い出がある分、すぐに手放す決断をするのは難しいのです。

管理や維持に手間とお金がかかる

空き家をきれいな状態で保つには、定期的な掃除や修繕が必要です。草むしりや換気、雨漏りのチェックなど、やるべきことはたくさんあります。さらに、固定資産税等の支払いもあります。遠方に住んでいる人にとっては、こうした手間と出費が負担になり、「とりあえず放置」という選択をしてしまうのです。

自治体の取り組みが追いついていない地域もある

一部の自治体では、空き家対策として「空き家バンク」のような制度を用意していますが、全国的にはまだまだ対応が不十分なところもあります。「相談しようにも、問い合わせ先がわからない」「情報が少ない」と感じている人も多いはずです。そのため、動き出すきっかけがないまま放置されてしまいます。

空き家を放置することで生じる問題

空き家をそのままにしておくと、思った以上にいろいろな問題が起こります。ただ「誰も住んでいない家」ではなく、放置されたままの空き家は、近所にも自分にも影響を与える「問題の発生源」になることもあります。

建物の劣化と倒壊の危険(害虫・雨漏り・カビなど)

誰も住んでいない家は、風通しが悪くなり湿気がたまりやすくなります。すると、カビが発生したり、木部の腐食や、シロアリが出たりします。屋根や壁の小さな傷みも放置されてしまうので、やがて大きな雨漏りや崩れにつながることもあります。

長く放っておくと、最終的には建物が倒れてしまうことすらあるのです。

不法侵入や放火など犯罪の温床に

空き家は人目がなく、鍵もかかっていないことが多いため、悪い人たちにとっては「入りやすい場所」になってしまうのです。不法侵入やごみの不法投棄、最悪の場合は放火などの犯罪が起きることも心配されます。

そうなると、近所の人にも迷惑がかかり、地域全体の安全も脅かされてしまいます。

近隣トラブルや損害賠償の可能性

例えば、毎年夏になると雑草が成長して虫が大量発生したり、壁や屋根が崩れて隣家を壊したりすれば、近所の人とのトラブルになります。場合によっては、管理しなかった責任を問われて損害賠償を請求される可能性もあります。

空き家が原因で人間関係が悪くなって、嫌な思いをすることになります。

固定資産税の増加や特定空き家の指定によるペナルティ

空き家を長く放置すると、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があります。これは「危険な空き家」と判断された場合に出されるもので、そうなると通常の6倍もの固定資産税が課税されてしまうことになります。

さらに改善命令が出されたり、最悪の場合は行政によって強制的に壊され、その費用も請求されてしまうのです。

これらの問題は、時間が経つほど深刻になっていきます。放置してしまった空き家が、あとから思いもよらない大きな問題になるかもしれないのです。

空き家放置が罰則対象になる可能性

空き家をそのまま放っておくだけで、法律に違反しているわけではありません。しかし、あまりにも管理されていない状態が続くと、行政から「罰則」や「命令」が出される可能性があることをご存じでしょうか。これは、法律の改正によって空き家対策が強化されているためです。

空家等対策特別措置法とは?

「空家等対策特別措置法(通称:空家法)」は、2015年に施行された法律です。目的は、倒壊や火災などの危険がある空き家を減らし、地域の安全を守ることです。この法律によって、自治体は危険な空き家に対して調査や指導、命令ができるようになりました。

つまり、「うちは田舎の家だから関係ない」と思っていても、危険だと判断されれば、法律の対象になるということです。

「特定空き家」に指定されるとどうなる?

空家法において、特に危険な状態の空き家は「特定空き家」として指定されます。これは「倒壊しそう」「害虫が大量に発生している」「周囲に悪影響を与えている」といったケースです。

特定空き家に指定されると、次のようなことが起こります:

  • 自治体から改善命令が届く(例:木の伐採、建物の修理など)
  • 命令に従わないと、最大6倍の固定資産税が課される
  • それでも放置すると、行政が強制的に建物を壊す(行政代執行)こともある

そしてその費用は空き家の持ち主が負担しなければならず、数十万円〜百万円単位の出費になってしまいます。

実際に罰則を受けたケースも

実際に、特定空き家に指定された後、何も対処しなかったことで、行政によって取り壊され、その費用を請求された例も出てきています。放置は「いつかやればいい」ではなく、「早めに対応しないと罰則があるもの」へと変わりつつあるのです。

空き家を持つということは、ただの「思い出の家」ではなく、「管理の責任を伴う資産」であるということを認識しなければなりません。

空き家を放置している50代が直面する現実

親の家を相続したあと、「とりあえずそのまま置いている」という人は少なくありません。特に、仕事や家庭で忙しい50代は、実家のことを後回しにしがちです。しかし、放置を続けることで、将来思わぬ問題に直面します。

将来的に売却が困難になるリスク

築年数が古くなると、家はどんどん劣化していきます。屋根や外壁の傷みが進み、水漏れや傾きがあれば、買いたいと思う人は極端に少なくなります。また、建物が使えない状態になると、「建物の価値はゼロ、土地だけが売り物」という状況になります。

さらに、人気のない地域やアクセスが悪い場所だと、売却先を探すのも難しくなります。「売ろう」と思ったときにはもう売れなくなっている、というのはよくあるケースです。

兄弟・親族間トラブルの火種になる

空き家があれば、親族間の話し合いが必要になります。「管理は誰がするのか」「将来どうするのか」「売るか残すか」など、意見が分かれるものです。こうした話し合いを放置しておくと、あとで相続人どうしの対立や不信感につながります

また、相続が次の代に移ると、権利者が増えて話がさらにややこしくなります。今のうちに方向性を決めておくことが、後々のトラブル回避につながります。

自分の老後資金・生活設計にも影響が

空き家の維持には、税金や修繕費がかかります。何も使っていない家に毎年お金を払っていると、自分の老後資金や生活のゆとりが削られてしまう可能性もあります。

また、自分が高齢になってから空き家の処分をしようと思っても、体力的にも手続き的にも大変になることが予想されます。元気なうちに処分しておくことで、将来の自分を助けることにもつながります。
「いつかやればいい」は、空き家問題では通用しません。50代の今だからこそ、“今後どうするか”を真剣に考えるタイミングです。

空き家放置を回避するための選択肢

空き家をそのままにしておくと、多くのリスクがあることが分かりました。でも「どうしたらいいのか分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか。ここでは、空き家の放置を避けるために今すぐできる選択肢を紹介します。

定期的な管理・メンテナンスを依頼する

まず、「今すぐ使う予定はないけど売るのも迷う」という場合には、定期的な管理を外部に依頼するという方法があります。最近では、月1回の見回りや清掃、換気などをしてくれる「空き家管理サービス」が各地で増えています。

費用は月に数千円から1万円程度が目安ですが、それで建物の劣化やご近所トラブルを防げるなら、十分に価値のある出費です。

売却 or 賃貸という選択肢を検討する

もし「もう自分では使わない」「今後も住む予定がない」とはっきりしているなら、売却や賃貸を検討することも現実的な選択肢です。

  • 売却:不動産会社に依頼して市場に出す。古家付きでも売れることがある。
  • 賃貸:賃貸リフォームをして貸し出す。定期借家契約で期間を決めて貸すことも可能。

「空き家バンク」など、自治体が運営するマッチングサービスを使えば、地元で家を探している人に届けることもできます。

空き家バンクや自治体支援の活用

各自治体では、空き家の活用や売却を支援する制度を設けているところがあります。「空き家バンク」や「改修補助金制度」、「移住者向け支援制度」などがあり、条件に合えば数十万円の補助を受けられることもあります。

地元の役所や市町村のホームページを調べてみると、思った以上に役立つ情報があるかもしれません。

家族と早めに話し合っておくことが重要

空き家の問題は、ひとりで抱え込まず、家族と一緒に考えることが大切です。「どうするか決めないうちに親が亡くなってしまい、兄弟で揉めた」という話もよくあります。

家族や親族会議を開くきっかけとして、「実家のこと、そろそろ考えようか」と声をかけてみてください。感情的な話題ではありますが、話し合っておくことで、後々の大きなトラブルを避けることができます。

空き家をどうするかを考えることは、「自分の生活」だけでなく「家族の将来」にもつながる大切な行動です。

空き家放置を続けるべきか?判断のポイント

空き家を持っているけれど、「売るのも、貸すのも、手続きが面倒そうだし、結局どうすればいいのか分からない。」と悩んでいませんか?ここでは、空き家をどうすべきか判断するためのポイントを3つ紹介します。

費用と手間 vs 将来の価値とリスク

まず考えるべきなのは、「この家にどれだけのお金と手間がかかるのか?」という点です。

たとえば、管理に年間10万円、固定資産税に10万円。それに加えて修繕費がかかれば、何年も放置することで数十万円単位の出費になります。一方で、土地の価格や家の価値が下がり続けるなら、将来的に「維持費だけかかって売れない家」になる可能性もあります。

「今、少し動くことで損を減らせるなら、将来の安心につながる」と考えることが大切です。

「思い出」と「資産価値」をどう考えるか

空き家が実家の場合、ただの建物ではなく「思い出の詰まった場所」としての意味があります。そのため、手放すことに気持ちの整理がつかない人も多いでしょう。

けれど、「思い出を守ることが建物を残すこと」ではありません。写真や動画に記録しておくことも、大切な思い出を残す方法のひとつです。

現実として、空き家が老朽化していけば、やがて思い出の家そのものが壊れてしまうかもしれません。思い出を未来につなげるには、「今どうすべきか」をしっかり考える必要があります。

相談すべき専門家(司法書士・不動産会社など)

「何から始めればいいか分からない」という場合は、専門家に相談するのが一番です。

  • 相続手続きや権利関係の相談 → 司法書士
  • 売却や賃貸、土地活用の相談 → 不動産会社
  • 補助金制度や空き家バンク → 自治体窓口

最近では、「空き家の無料相談会」や「空き家対策セミナー」を開いている自治体もあります。ひとりで悩まず、まずは一歩踏み出してみることが大事です。

ここで重要なことは空き家の所在地です。県庁所在地もしくはその周辺自治体であれば、首都圏と同様の不動産流通性があります。場合によっては大手不動産会社の支店もあるかもしれません。

しかし、それ以下の人口数万人規模の地域であれば、不動産会社がほとんどありませんので、最初は自治体窓口へ相談に行くのが無駄のない行動です。

空き家問題は、判断を先延ばしにするほどリスクが大きくなります。将来の自分と家族のために、冷静に向き合いましょう。

まとめ:空き家は「放置しない」が最も安全な選択

ここまで読んでいただいたとおり、空き家を放置することには多くのリスクがあります。家が劣化して倒壊したり、犯罪に使われたり、最終的には法律によって罰則を受ける可能性もあるのです。

とくに、首都圏で働く50代の地方出身者にとっては、「実家の空き家問題」は今後ますます現実味を帯びてきます。自分が動かなければ、誰も動いてくれません。そして、気づいたときには取り返しがつかなくなっていることもあるのです。

最後に、今すぐできる3つのアクションを確認しましょう。

今すぐできる3つのアクション

  1. 現地の状況を確認する
    家の状態、土地の様子、近所の環境を自分の目で確かめることから始めましょう。現地に行けない場合は、空き家管理サービスの利用や、地元の不動産業者に写真や報告を依頼するのも一つの手です。
  2. 家族と話し合う時間をつくる
    「空き家をどうするか」は一人で抱え込む問題ではありません。親族と意見を共有し、将来の方向性をすり合わせることで、無用なトラブルを防げます。
  3. 専門家に相談してみる
    相続のこと、不動産のこと、補助金制度のことなど、気になるテーマがあれば、まずは無料相談を利用してみましょう。動き出せば、解決策が見つかる可能性は高くなります。

空き家は「財産」であると同時に、「責任」でもあります。
放置はリスクを積み上げるだけ。 今こそ、空き家と向き合い、自分と家族の未来を守る一歩を踏み出しましょう。

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